【医師監修】包茎が原因で感染しやすい8つの病気と対処法
- 【監修】
久金 陽 医師
都内大学病院泌尿器科勤務 泌尿器科医
包茎のデメリットですが、男性側からすると「見栄え」を気にする人が多いですが、最大のデメリットは「病気に感染するリスク」です。
男性自身が健康を損なうだけでなく、場合によっては恋人や奥さんなどに性交渉を通じて病気を感染させてしまう可能性もあります。
ここでは、包茎が原因で発生する可能性がある様々な病気について、その症状や原因について解説します。
病気のリスクがある包茎の種類
包茎には「真性包茎」「仮性包茎」がありますが、病気のリスクがあるのは「真性包茎」です。
真性包茎とは
真性包茎とは、勃起している状態、していない状態に関わらず、亀頭が包皮に完全に覆われており、自分でも剥くことが出来ない状態です。
そのため、包皮の内部には恥垢や精液といったカスが溜まります。さらに、包皮の中は乾燥しないため雑菌が繁殖しやすい環境です。
真性包茎の手術には保険が適用される
包茎手術は保険がきかない美容医療クリニックで手術する人が多いですが、真性包茎の場合、病院の泌尿器科であれば保険適用で手術を受けることができます。
保険が適用される治療の条件として「身体の健康のために必要な治療であること」があります。真性包茎は病気のリスクがあるため、保険が適用されるのです。
包茎が原因の病気
ここでは、真性包茎が原因で発生する可能性がある病気について、症状や原因を説明します。
陰茎がん
亀頭に発症する癌です。男性に発症する癌の1%に過ぎない腫瘍ですが、発症する人に包茎の方が多いことと、宗教上の理由により幼少期に包茎手術(割礼)を行う国では発生例がとても少ないことから、包茎による不衛生が原因であると言われています。その他、年齢・喫煙・HPV(ヒトパピローマウイルス)感染が原因として挙げられます。
亀頭部におできのようなものが出来ますが、痛みがなく、また包茎の場合は包皮に隠れて見えないため、発見が遅くなりがちです。
また、排尿が困難となったり、進行すると潰瘍を形成します。手術による摘出や放射線療法、化学療法による治療が一般的です。
嵌頓包茎(カントン包茎)
亀頭の出口である包皮輪が狭く、無理に包皮を剥いた時に起こる包茎です。
剥いた包皮が元に戻らなくなり、狭い包皮輪によって陰茎の血管やリンパ管が絞扼(締め付け)され、急速に浮腫が出現します。場合によっては亀頭が壊死することもあります。
麻酔を行ったうえで浮腫を軽減させ、包皮を戻す治療が行われますが、元に戻せない場合は絞扼のある部分を「背面切開術」で切除し、包皮輪を広げて元に戻します。
泌尿器科であれば保険適用での手術が可能です。
亀頭包皮炎
亀頭包皮炎とは「亀頭」と「包皮」に炎症が起こっている状態で、簡単に言えば「ペニスの炎症」です。炎症が亀頭だけの場合を「亀頭炎」、包皮だけの場合を「包皮炎」、両方に起きている場合を「亀頭包皮炎」と呼びます。子供がかかることもあり性病ではありません。
亀頭包皮炎の症状ですが、かゆみ、腫れ、膿み、排尿時の痛みといった症状があります。また、カンジダが原因の場合、白いカスが出ることもあります。
原因は黄色ブドウ球菌や大腸菌などの雑菌やカンジダが亀頭や包皮に感染することで起こります。また、セックスや洗い過ぎによって傷がつき、そこから感染することもあります。
治療法ですが、細菌性亀頭包皮炎の場合は抗生物質の飲み薬や塗り薬を使用し、カンジダ性亀頭包皮炎の場合は抗真菌剤の塗り薬を使用します。
包茎の場合は原因菌が繁殖しやすく、再発しやすい病気です。真性包茎だけでなく、仮性包茎であっても清潔な状態が保てていないと感染することがあります。
性感染症(性病)
性感染症(性病)とは、性交渉(セックス、ディープキス、フェラチオ、クンニリングスなど)によって、体液(精液、膣液、血液など)に含まれた病原体が粘膜(陰茎、膣、肛門、尿路)を介して感染します。
性感染症には様々な種類がありますが、包茎の場合に感染しやすいものとしては以下があります。
- HIV(ヒト免疫不全ウィルス)
- 淋菌感染症(淋病)
- クラミジア感染症
- 梅毒
- 尖圭コンジローマ
- 性器ヘルペス
- 性器カンジダ症
包茎以外の場合も性行為によって感染しますが、包茎の場合は普段包皮に覆われている亀頭や内板(包皮の内側)が損傷しやすく、感染しやすくなります。
近年、包茎手術を受けることでHIV(ヒト免疫不全ウィルス)の感染リスクが約6割抑えられるという研究結果があります。
男性の場合、包茎手術をすることでHIV感染を6割ほど抑えられることがわかっています。包皮(陰茎の亀頭部分を覆う薄い皮膚)には、ほかの皮膚に比べて数倍のランゲルハンス細胞がいます。そのため、包茎手術はランゲルハンス細胞を減らすことにつながり、HIV感染のリスクを下げるのではないかといわれています。
フォアダイス
フォアダイスとは、性器に白いぶつぶつが出来る、以下3つの症状の総称です。
- フォアダイス
- 真珠様陰茎小丘疹(しんじゅよういんけいしょうきゅうしん)
- 包皮線(タイソン線)
共通して言えることは、「性病ではない」「感染しない」「痛みや痒みはない」という点と、「包茎による不衛生が原因」と言われている点です。
それぞれの症状について説明します。
フォアダイス
症状としては、ペニスの陰茎部分に白いぶつぶつが出来ます。ぶつぶつの正体は皮脂です。毛穴がない部分に皮脂が分泌され、それが対外に排出できずに白い塊となったものです。
珍しい症状ではなく、成人男性の約65%に見られる症状です。
真珠様陰茎小丘疹(しんじゅよういんけいしょうきゅうしん)
症状としては、亀頭のカリの部分に白いぶつぶつが出来ます。ぶつぶつの正体は脂肪の塊です。
フォアダイス同様珍しい症状ではなく、成人男性の約65%に見られる症状です。
包皮線(タイソン線)
症状としては、包皮小帯(裏スジ)の部分に白いぶつぶつが出来ます、ぶつぶつの正体は恥垢を分泌するための皮脂腺です。
包茎の場合は分泌された恥垢が溜まり、臭いの原因にもなります。
ケーラー紅色肥厚症
「皮膚内ガン」であるボーエン病の一種とされており、亀頭の一部が紅色になります。放置すると有棘細胞がんとなるため、表皮内がんのうちに治療することが大切です。
包茎の亀頭と包皮に間に溜まった恥垢が原因となることが多く、包茎の人に生じることが多いです。
尿路感染症
小児期によくみられる病気です。細菌が尿道から侵入し、膀胱や腎臓まで上がってくることが原因です。
海外で割礼(包茎手術)を受けている男児は尿路感染症になる確率が10分の1であることから、包茎によって清潔な状態が保てていないことも原因と言われています。
排尿障害
主に子供の包茎に起こる症状です。包皮口が狭く上手に排尿出来ず、包皮が風船のように膨らんでしまいます。
尿がまっすぐ飛ばず便器や床を汚してしまいますが、尿の出が悪くなり健康状態に影響を及ぼすことはごく稀だと言われています。
女性の子宮頸がんの原因にもなる
子宮頸がんは、子宮の入口部分である子宮頸部で発生するがんです。
子宮頸がんの患者の90%以上からHPV(ヒトパピローマウイルス)が検出されていることから、このHPVが多くの原因と言われています。
HPVは性交渉で感染する
HPVは性交渉で感染するウィルスです。感染自体は珍しいことではなく、約90%のケースでHPVウィルスは免疫力によって排除され、症状は現れません。
しかし、排除されずに感染が続くと子宮頸がんが発生すると言われています。
包茎はHPV感染リスクを高める?
包茎男性との性交渉はHPVに感染しやすいという話がありますが、これについては立証されておらず、なんとも言えません。
しかし、包茎は恥垢が溜まり、包皮内は湿度が高いため雑菌が繁殖しやすい環境です。
仮性包茎の人は入浴時に包皮を剥いて普段から清潔な状態を保つことを心掛け、真性包茎は手術で包茎を治療したほうが良いでしょう。
まとめ
以上、包茎と病気の関係について説明しました。
病気のリスクが高い包茎は真性包茎とお伝えしましたが、仮性包茎であってもリスクがないわけではありません。入浴時には包皮を剥いて洗うなど、清潔な状態を維持するよう心がけましょう。
真性包茎の場合、自分自身の健康を損なう可能性があるだけでなく、恋人や奥さんなどのパートナーにも病気に感染するリスクがあります。出来るだけ早めに治療を受けるようにしましょう。
石水朋哉
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