【Dr.河合の包茎コラム第11回】包茎の基準(定義)とは?タイプ別に解説します
- 【記事執筆】
河合 成海
アトムクリニック院長
包茎治療実績15,000件以上。包茎で悩む男性に役立つコラムをお届けします。
包茎は症状によって種類がある
人は出生時、亀頭は包皮で覆われ多くは亀頭と包皮は癒着したいわゆる真性包茎で生まれてきます。二次性徴に伴って癒着は剥がれ、包皮口は広がって露茎できるようになり成人型の陰茎となります。
成長の過程で包皮口が広がりきらなかったまま成人した場合、真性包茎、カントンタイプ、仮性包茎(狭窄あり)といった状態になります。
3つの分類は一般的ですが、非常に混乱を招く分類だと考えています。
それは、診断名と合併症である嵌頓状態が混同していることと、正常の状態が含まれていないことです。
以下、それぞれの状態の基準(定義)について解説します。
真正包茎の基準(定義)
真性包茎は出生時より包皮を剥くことが出来ない状態です。
成人してもこの状態ですと亀頭が包皮と強固に癒着してしまったり、亀頭の発育不全が起こったり、恥垢がたまり非常に不潔な状態となります。性行為ではつっぱりが強く痛みを伴うこともあります。
出生時の状態でそのまま成人してしまったため、病的には発育異常が隠れている可能性もありますが、多くは二次性徴の起こる小児期以降、剥いて洗わなかった、マスターベーションにて亀頭を露出しなかったなどが原因として考えられます。
二次的に真性包茎になった場合は、包皮の外傷や糖尿病の罹患により包皮が期弱化、炎症の継続から瘢痕萎縮をきたしている可能性もあります
真正包茎のリスクやデメリット
多くは勃起時に剥くことができないため、性交渉ではつっぱり痛みを生じたり、不衛生な状態になりやすいと言えます。恥垢が溜まることが多くパートナーへも刺激物質として炎症させてしまったり長年放置しておくと陰茎がんの発症の原因になることもあります。
包皮口が極端に狭くなってしまいますと、尿路の障害をきたすこともあります。
医学的にも整容的にも手術の対象となる状態です。
真正包茎の改善方法
手術が改善方法になります。
出生時や乳幼児期には背面切開を選択されることもあります。諸外国では割礼という理由で環状切除手術が行われるケースも多々あります。
小児期は全身麻酔のリスクがあるため、嵌頓状態を起こしたり繰り返す感染症、排尿障害などの合併症があれば行われることもありますが、基本的には二次性徴が終わっても(成人性器)剥くことができない場合手術の適応となります。
成人してからのステロイド外用や拡大する器具を使っての方法は改善の見込みが少ないか、逆に合併症を起こしてしまうかもしれません。
仮性包茎の基準(定義)
仮性包茎は剥くことが容易で狭窄を認めないもの(一般的には正常な状態)を指しますが、余剰包皮の余り方は個人差があり成人時点での個人差は千差万別です。
医学的には正常なタイプになるので原因というのは特にありませんが、小児期、思春期の洗い方やマスターベーションの仕方(俗にいう皮オナ)で差が出ると考えられます。
亀頭とのサイズ差があれば剥いてもすぐに戻ってしまうため、整容的、衛生的な目的で手術の対象となってきます。
包皮を翻転させることが容易で包皮口の狭窄がない、平常時は被っているような状態を一般的に仮性包茎と呼びますが、勃起時にも被るほど余剰包皮がある場合もあります。
平常時は本来の包茎(狭いところがあり剥けない)に見えるため、偽性の意味の仮性という名前がついています。一般に最も多いタイプで病的な合併症などが生じない限り医学的には手術の必要性はありません。以下に示すような理由で整容的に手術が行われます。
- 平常時に包皮が被っている見た目が気になる(銭湯など)
- 包皮の炎症を繰り返す
- 毛が絡む
- 臭いが気になる
- 勃起時にも包皮が被るため、ゴムがズレやすい
- 介護の段階になった時に清潔でいたい
- 最後の時を迎える時の見た目を良くしたい
仮性包茎のリスクやデメリット
整容的に気にされる方は多いようです(真性包茎と間違われることが多いため)。
平常時から露茎している方に比して不衛生に成りやい状態と言えます。
亀頭や内板包皮が未成熟だと亀頭包皮炎を起こしやすい、外的に防御力が劣るため性感染症などをもらいやすい状態と言えます。
仮性包茎の改善方法
平常時から露茎状態にしたいということが目的であれば、露茎を目的とした美容的な包茎手術を受けるか、亀頭と包皮口の差があるようであれば増大術も選択肢に入ってくるかと思います。
嵌頓包茎の基準(定義)
※ここでいう嵌頓包茎は包皮口に狭窄のある方を指します、剥くことに支障がない方から嵌頓状態(絞扼してしまい元に戻せなくなる)を引き起こす可能性のある重篤なものまで含みます
嵌頓包茎(カントンタイプ)は包皮口が狭くなっているのが特徴です。
以下の状態があればこのタイプと言えます。
- 平常時剥くことが困難
- 剥いたままにしておくと包皮が浮腫んでしまう、または戻せなくなったことがある
- 軽度の狭窄では支障がないことが多いが、勃起時に狭い部分に力がかかってしまい環状に傷ができやすい(包皮炎を繰り返す)
嵌頓包茎のリスクやデメリット
あまり剥かないことが多いため恥垢が溜まりやすく不衛生です。
勃起時にはつっぱり痛みを伴うこともあるため性交渉は困難なことがあります。
嵌頓状態を起こすと血管・リンパ菅の循環不全をきたし浮腫状に腫れて痛みを生じます、放置しておくと皮膚の感染・壊死をきたすことがあります。
嵌頓包茎の改善方法
嵌頓包茎(包皮口に狭いところがある)を治す方法は手術しかありません。
二次性徴が終わった成人では、包皮の変化は望めません。
無理に包皮口を広げようとする器具を使った場合、広がらないばかりか傷をつけてしまうだけで、瘢痕萎縮というさらに狭くなってしまうリスクがあるのでお勧めできません。
小児期など成長途中で行われるステロイド薬外用(皮膚の菲薄化という副作用を利用した包皮口の拡大)も成人した包皮にはあまり効果は望めません。
河合成海
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