【医師監修】泌尿器科での包茎手術、保険適用や手術跡について
- 【記事監修】
梶 昇吾
かじクリニック熊本 院長
日本美容外科学会 会員
日本医学脱毛学会 会員
平成7年 三重大学医学部卒業。平成9年 名古屋大学医学部附属病院 形成外科に入局。その後、大手美容外科クリニックの院長、大阪梅田中央クリニックの院長(中央クリニックグループ 技術指導医)を歴任し、令和元年 かじクリニック熊本を開設。
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包茎手術をどこで受けるかですが、選択肢としては「総合病院または個人医院の泌尿器科」または「美容医療クリニック」の2つがあります。そこで、
「どちらで受ければいいの?」
「保険は泌尿器科しか適用されないの?」
「この2つはどう違うの?」
といった疑問があり迷っている人も多いと思います。
同じ包茎手術であっても、この2つでは「費用」「仕上がり」「受けられる条件」などなど、いくつかの違いがあります。
ここでは、泌尿器科と美容医療クリニックの違いについて詳しく説明します。
泌尿器科の包茎手術について
まずは泌尿器科の包茎手術について説明します。
泌尿器科とは
尿を作り出し、体外に排出するために働く器官である泌尿器や、男性の生殖器(精巣・前立腺・外性器)の疾患や異常の診断・治療を行うところです。
代表的な診療内容としては以下が挙げられます。
排尿障害、尿路感染症、性感染症、前立腺肥大症、前立腺がん、膀胱がん、腎がん、包茎手術
また、最近ではED(勃起不全)治療を行っているクリニックも増えています。
泌尿器科は保険適用となる?
健康保険が適用された場合、治療費は3割負担となります。泌尿器科で包茎手術を受けた場合、保険適用となる場合があります。
ただし、保険適用で治療が受けられるのは「真性包茎」または「嵌頓包茎(カントン包茎)」の手術に限られます。
自分で包皮を剥いて亀頭を露出することが出来る仮性包茎は保険適用外の治療となり、泌尿器科では手術を受けることができません。
また、泌尿器科であれば必ずしも保険適用となるわけではありません。病院によっては「包茎手術はすべて自由診療」としているところもあり、その場合は例え真性包茎であっても治療費は全額自己負担となります。
包茎手術の保険適用について詳しくは以下のリンク先をご覧ください。
泌尿器科の包茎手術費用
泌尿器科で包茎手術を受け、保険適用となった場合の費用ですが、「環状切開術」「背面切開術」という2つの術式によって費用が異なります。
それぞれの術式の診療報酬は以下のとおりです。
- 環状切開術・・・2,040点
- 背面切開術・・・740点
実際に患者が支払う(負担する)金額ですが、診察料や薬の処方料を含め、4万円前後となります。
手術跡は目立つ
泌尿器科での包茎手術は、あくまでも「真性包茎」「嵌頓包茎(カントン包茎)」による健康リスクを排除することが目的です。
見た目のコンプレックスを解消したいという目的の手術には応じてくれません。よって、手術を受けた陰茎にはツートンカラーと呼ばれる手術跡が残ります。
美容医療クリニックと泌尿器科の違い
包茎手術を受ける際に泌尿器科と並んで選択肢となるのが美容医療クリニックです。
ここでは、美容医療クリニックと泌尿器科の違いについて説明します。
美容医療クリニックとは
美容医療とは、病気やケガの治療ではなく、顔や体を美しく改善する治療を行う医療サービスです。代表的なものとしては「二重まぶたの整形手術」「バストを大きくする豊胸手術」「脱毛」などが挙げられます。
女性向けのサービスというイメージが強いかもしれませんが、男性向けの美容医療サービスの一つとして「包茎手術」があります。
包茎手術を行っている美容医療サービスとしては、「上野クリニック」や「ABCクリニック」といった、男性専門のクリニックがあります。
保険は適用されない
美容医療クリニックでの治療には保険は適用されません。治療費は全額自己負担となります。
また、泌尿器科による保険適用の手術費用が「診療報酬」で決められているのに対し、自由診療である美容医療クリニックでの包茎手術費用はクリニック側で自由に決めることができます。
そのため、「A病院では5万円」の手術が「B病院では30万円」ということも起こりえます。
料金トラブルの相談も少なくない
美容医療クリニックでの包茎手術ですが、国民生活センターへの「料金トラブル」の相談が問題になっています。相談例としては以下のようなものがあります。
- 手術中に「オプションの治療をした方が良い」などと言われ、最終的に100万円を超える請求をされローンを組まされた
- 5万円~10万円と思っていたのに、100万円以上の治療費を請求された
美容医療クリニックでの包茎手術で料金トラブルに遭わないためには、手術を申し込む前に、見積書等で手術費用を明確に提示してもらい、追加費用が発生しないことを確認しておくことです。
また、2~3つのクリニックでカウンセリングを受け、費用の比較を行うことも良いでしょう。
包茎手術の相場を知らず、クリニック側の言い値で手術を申し込んでしまうのは危険です。
仮性包茎であっても手術が受けられる
前述したとおり、健康リスクのない仮性包茎は泌尿器科(保険適用)での手術はできません。しかし、美容医療クリニックであれば手術が可能です。
- 見た目のコンプレックスを解消したい
- 早漏を解消したい
などなど、健康上の理由以外であっても手術を受けることができます。勿論、仮性包茎だけでなく、真性包茎や嵌頓包茎(カントン包茎)の手術にも対応しています。
自然な手術跡に仕上げてくれる
美容医療クリニックで包茎手術を行うことはデメリットだけではありません。最大のメリットは「手術跡を自然に仕上げてくれる」という点です。
泌尿器科での手術は健康リスクを排除することを目的とした治療であり、見た目への配慮はありません。そのため、いわゆるツートンカラーの手術跡が目立つようになってしまい、人によってはそれが新たなコンプレックスとなる場合もあります。
美容医療クリニックでは、手術跡が自然な見た目となるように、美容医療を目的とした術式があります。代表的なものを紹介します。
亀頭直下埋没法
基本的な方法としては泌尿器科の環状切開術と同じですが、違いは縫合箇所です。環状切開術では亀頭から2~3cm下の部分で縫合をするのに対し、亀頭直下埋没法では亀頭の直下数ミリの位置で縫合を行います。
そうすることによって勃起していない時は包皮に隠れて手術跡が目立たず、勃起した時も亀頭に隠れて手術跡が目立ちにくくなります。
亀頭直下埋没法について詳しくは以下のリンク先をご覧ください。
根部切除法(バックカット法)
環状切開術や亀頭直下埋没法では陰茎の先端部分の余剰包皮を切除しますが、根部切除法(バックカット法)では陰茎の根本部分の余剰包皮を切除します。
そうすることで手術跡が陰毛に隠れて目立ちにくくなります。
切らない手術
メスを使って包皮を切除せずに包茎を改善する方法です。切らずに包茎を治す方法としては、主に以下の3つがあります。
- ナチュラルピーリング法
- 亀頭増大術
- 長茎術
しかし、いずれの方法も包茎が治る確率は高くはありません。
切らない手術について詳しくは以下のリンク先をご覧ください。
まとめ
以上、泌尿器科での包茎手術について、美容医療クリニックとの違いを交えて説明しました。
泌尿器科での包茎手術は保険適用で安く行えるというメリットがある一方で、真性包茎、または嵌頓包茎(カントン包茎)といった健康リスクがある包茎でなければ受けることができません。
また、見た目のコンプレックス解消を目的とした手術も行っておらず、手術跡への配慮もありません。
一方で美容医療クリニックは保険適用外となり全額自己負担ですが、包茎の種類も目的も問わずに手術が受けられます。また、手術跡が目立たないように配慮した手術を行ってくれます。
しかし、料金トラブルについての相談が国民生活センターに寄せられるなど、一部には悪徳クリニックも存在しているようです。
いずれの包茎手術にも一長一短がありますが、大切なことはメリットとデメリットを比較して慎重に検討するということです。
出来れば、泌尿器科と美容医療クリニックの両方で診察を受け、費用や治療方法を比較して検討すると良いでしょう。
石水朋哉
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